▸ この記事のポイント
- 低用量ピルは避妊だけでなく、月経痛・過多月経・月経不順・PMS・子宮内膜症の治療にも使われる
- 正しく使えば避妊率99.7%以上。日本では産婦人科での処方が必要(一部はオンライン処方可)
- 副作用として吐き気・頭痛・乳房張りが飲み始めに出やすいが、多くは2〜3か月で軽快する
- 喫煙者(35歳以上)・血栓症既往・片頭痛(前兆あり)は使用できない。開始前に医師の診察が必要
低用量ピルとは
低用量ピル(OC:oral contraceptive / LEP:低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬)は、エストロゲンとプロゲスチンを組み合わせたホルモン薬だ。排卵を抑制し、子宮頸管粘液を変化させることで避妊効果を発揮する。
避妊目的(OC)は自費処方、月経困難症・子宮内膜症治療目的(LEP)は保険処方が可能だ。
ピルの種類
| 世代・種類 | 特徴 | 代表的な製品 |
|---|---|---|
| 第1世代 | プロゲスチン作用が強い。月経痛・子宮内膜症に有効 | ルナベル、フリウェル |
| 第2世代 | レボノルゲストレル含有。血栓リスクが最も低い | トリキュラー |
| 第3世代 | デソゲストレル含有。アンドロゲン作用が少なくニキビに効果 | マーベロン |
| 第4世代(DRSP) | 抗アルドステロン作用がありむくみに有効。PMSにも | ヤーズ、ヤーズフレックス |
避妊以外の効果
- 月経痛の改善:子宮内膜を薄く保ちプロスタグランジン産生を減らす。通常2〜3周期で効果が実感できる
- 過多月経の改善:経血量を40〜60%減少させる
- 子宮内膜症の管理:病巣の進行抑制・術後再発防止
- PMS・PMDD症状の改善:ヤーズ系(DRSP含有)が特に有効
- ニキビの改善:アンドロゲン作用の少ないピルで皮脂分泌が減少
- 卵巣がん・子宮内膜がんリスクの低下:長期使用でリスクが下がる
飲み方と飲み忘れ時の対処
毎日同じ時間に飲む。21錠タイプは21日飲んで7日休み、28錠タイプ(プラセボ含む)は休みなく続ける。
飲み忘れた場合:12時間以内なら気づいた時点で飲む(避妊効果は保たれる)。12時間以上経過した場合は翌日から再開し、その周期は他の避妊法を追加する。
ピルの禁忌——使えない人
・35歳以上の喫煙者(1日15本以上)
・静脈血栓塞栓症(DVT・PE)の既往
・前兆(閃輝暗点)を伴う片頭痛
・コントロール不良の高血圧
・乳がん既往
・重症の肝疾患
・妊娠中・授乳中
まとめ
低用量ピルは避妊だけでなく、女性の様々な症状・疾患の治療に活用できる薬だ。「ピル=避妊薬」という先入観を超えて、月経に悩む女性に広く知ってほしい選択肢だ。飲み始めの副作用を心配する声が多いが、多くは短期間で慣れる。まずは婦人科で相談してほしい。
参考文献
- 日本産科婦人科学会. 産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2023.
- WHO. “Medical Eligibility Criteria for Contraceptive Use, 5th edition.” 2015.
- Giribela AH, et al. “Oral contraceptives and their effects.” Curr Pharm Des. 2015.