▸ この記事のポイント
- 葉酸は妊娠前から飲み始めることが重要。神経管閉鎖障害は受精後28日(妊娠6〜7週)までに起きるため、妊娠を知ってからでは遅い
- 推奨量は食事性葉酸に加えてサプリメントで400μg/日(通常の食事では不足)
- 「葉酸さえ飲めばよい」ではない。鉄・ビタミンD・DHAも妊活〜妊娠期に重要な栄養素
- 高用量の葉酸(1000μg/日以上)はビタミンB12欠乏を隠す可能性があるため注意
葉酸を妊活前から飲む理由
葉酸(ビタミンB9)は、胎児の神経管(脳・脊髄の元になる組織)の正常な発達に不可欠なビタミンだ。神経管は受精後28日前後(妊娠6〜7週)に閉鎖するが、このタイミングは多くの女性が「妊娠した」と気づく前だ。
厚生労働省は「妊娠を計画している女性または妊娠の可能性がある女性は、食事に加えてサプリメントで400μg/日の葉酸を摂取することが望ましい」と推奨している。
葉酸の摂取開始は、妊娠希望を決めた時点から。理想は妊娠1か月以上前からだが、できるだけ早く始めることが大切だ。妊娠がわかってから飲み始めても、予防効果は限定的になる。
葉酸の摂り方——食事 vs サプリメント
葉酸は緑黄色野菜(枝豆・ほうれん草・ブロッコリーなど)・レバーに多く含まれるが、食事からの葉酸(食事性葉酸)はサプリメントの葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)より吸収率が約半分だ。
食事だけで推奨量(サプリ換算400μg/日)を摂ることは現実的に難しく、サプリメントの使用が推奨される。摂りすぎに関しては1000μg/日(上限)を超えなければ問題はないが、神経管閉鎖障害予防の目的には400μg/日で十分だ。
その他の重要な栄養素
| 栄養素 | 妊活・妊娠での役割 | 注意点 |
|---|---|---|
| 鉄 | 赤血球産生・胎児への酸素供給。妊娠中は必要量が増加 | 便秘・胃部不快感が副作用。ヘム鉄のほうが吸収率が高い |
| ビタミンD | カルシウム吸収・免疫・胎児骨格形成 | 日本人の多くが不足傾向。1000〜2000IU/日を目安に |
| DHA・EPA | 胎児の脳・眼球発達に重要なオメガ3系脂肪酸 | 魚(青魚)から摂るか、藻類由来DHAサプリで補う |
| ヨウ素 | 甲状腺ホルモン産生・胎児の神経発達 | 海藻の過剰摂取はNG(甲状腺機能に影響) |
ビタミンAの過剰摂取に注意
動物性ビタミンA(レチノール)は妊娠初期に過剰摂取すると催奇形性のリスクがある。妊娠前・妊娠初期はビタミンAを多く含むサプリ(特にフィッシュリバーオイル)や、レバーの過剰摂取を避けることが推奨される。葉酸サプリにはビタミンAが含まれないものを選ぼう。
葉酸サプリの選び方
- 葉酸(フォリン酸)として400μg含有のものを選ぶ
- 厚生労働省の基準を満たした国産のものが安心
- 多量のビタミンAが含まれていないか確認する
- 一般的な妊活向けサプリ(エレビット・ベルタ葉酸など)には複数の栄養素が含まれている
- 妊娠中は「妊婦向けサプリ」に切り替えることも検討する
まとめ
葉酸は「妊娠してから飲む」では遅い。妊活を始めたタイミングから摂り始めることが最も重要だ。葉酸以外にも鉄・ビタミンD・DHAなど、妊娠期に必要な栄養素を意識した食生活とサプリメントの活用が将来の赤ちゃんの健康につながる。
参考文献
- 厚生労働省. 妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針. 2021.
- 日本産科婦人科学会. 産婦人科診療ガイドライン 産科編2023.
- MRC Vitamin Study Research Group. “Prevention of neural tube defects.” Lancet. 1991.