▸ この記事のポイント
- 健康な夫婦でも1周期あたりの妊娠率は約20〜25%。1年間試して妊娠しない場合が「不妊」の定義
- タイミング法は排卵の2〜3日前が最も効果的。排卵直後は手遅れになることがある
- 妊活開始前に両者とも検査を受けることが時間の節約になる。不妊の原因は男女ほぼ半々
- 35歳以上なら6か月試して妊娠しなければ、1年待たずに不妊専門クリニックを受診してよい
妊娠の基礎知識——確率と年齢の関係
健康な夫婦が適切なタイミングで性交した場合の1周期あたりの妊娠率は、20代で約25%、30代前半で約20%、35歳以降で急速に低下し、40代では約5〜10%となる。
つまり20代でも毎月妊娠するわけではなく、タイミングを外さなければ数か月〜1年で妊娠するのが普通だ。「数か月試したが妊娠しない」で焦りすぎる必要はないが、35歳以上は時間的余裕が少ないため早めの対応が重要だ。
タイミング法——排卵日の見つけ方
タイミング法では排卵のタイミングを把握することが重要だ。
排卵日の目安
- 基礎体温(BBT):排卵後に体温が0.2〜0.3℃上昇する。上昇する直前が排卵のタイミング。毎朝測定する必要がある
- 市販の排卵検査薬(LHサージ検査):尿中LHが急上昇する24〜36時間後に排卵が起きる。陽性が出たら翌日〜翌々日が性交タイミング
- 超音波検査(クリニック):最も正確。卵胞の大きさを測定して排卵時期を予測できる
「排卵日当日より前が効果的」な理由。精子は卵管内で2〜3日生存できるが、卵子は排卵後12〜24時間しか受精能がない。排卵前から精子を卵管内に待機させる戦略が有効で、排卵の2〜3日前から排卵当日にかけての性交が最も妊娠率が高い。
妊活前に受けるべき検査
妊活を開始する前に、女性だけでなくパートナーも含めた検査を受けることを勧める。不妊の原因は女性側・男性側それぞれ約40〜50%ずつで、男性の検査を先延ばしにすることで診断が遅れるケースが多い。
女性側の検査
- ホルモン検査(LH・FSH・エストラジオール・AMH)
- 超音波検査(子宮・卵巣の形態確認)
- 卵管検査(卵管通水・子宮卵管造影)
- 子宮頸がん・体がん検診
- 感染症検査(クラミジア・淋菌・梅毒・HIV)
- 風疹抗体価(陰性なら接種後避妊期間が必要)
男性側の検査
- 精液検査(精子濃度・運動率・形態)
AMH(卵巣予備能検査)について
AMH(抗ミュラー管ホルモン)は残存卵子数の目安になる検査で、年齢と相関して低下する。AMHが低い場合は妊活を急ぐ必要があることが分かる。多くの婦人科クリニックで自費検査として受けられる(5000〜10000円程度)。
何か月試しても妊娠しない場合
| 年齢 | 不妊検査・治療を考えるタイミング |
|---|---|
| 35歳未満 | 1年間試しても妊娠しない場合 |
| 35〜39歳 | 6か月間試しても妊娠しない場合 |
| 40歳以上 | 妊活開始と同時に不妊専門クリニック受診を推奨 |
まとめ
妊活は「正しい知識を持って、最適なタイミングで行動すること」が効率的だ。タイミング法の方法を正確に理解し、必要な検査を受けた上で取り組むことで、無駄な時間を省くことができる。「年齢のリスク」を正確に理解しつつ、焦りすぎず着実に進めてほしい。
参考文献
- 日本産科婦人科学会. 不妊症に関するガイドライン2022.
- Wilcox AJ, et al. “Timing of sexual intercourse in relation to ovulation.” N Engl J Med. 1995.
- 日本生殖医学会. 生殖医療の必修知識2020.