▸ この記事のポイント
- 妊娠初期(〜12週)に出血や腹痛があっても必ずしも流産ではないが、大量出血・激しい腹痛は救急受診が必要
- 異所性妊娠(子宮外妊娠)は放置すると卵管破裂・出血性ショックになる。「生理が遅れているのに腹痛がある」は要注意
- 流産の約80%は染色体異常が原因。「自分のせいではない」と知ることが大切
- 妊娠中に避けるべきもの:アルコール・喫煙・生魚・生肉・大量のカフェイン・特定の薬
妊娠初期の主な症状
妊娠5〜12週(妊娠初期)に現れる主な症状は以下の通りだ。
| 症状 | 説明 |
|---|---|
| つわり | 吐き気・嘔吐・食欲不振。妊娠6〜16週頃に最も強い。hCGホルモンの影響 |
| 乳房の張り・過敏 | エストロゲン・プロゲステロンの上昇による |
| 頻尿 | 子宮が大きくなり膀胱を圧迫する |
| 疲労感・眠気 | プロゲステロンの上昇・基礎代謝の増加によるエネルギー消費 |
| 少量の出血(着床出血) | 受精卵が着床する際の微量出血。1〜2日で止まる |
流産——なぜ起きるのか
流産は妊娠22週未満の妊娠中断を指す。妊娠全体の約15〜20%が流産に終わる。
流産の原因の約70〜80%は胎児の染色体異常だ。これは受精時に偶然起きる現象で、母親の行動(運動・仕事・セックス・転倒など)が原因で起きることはほぼない。「自分がもっと安静にしていれば」と自分を責めないで。
流産のサイン
- 少量の茶褐色〜鮮血の出血(大量出血は要救急)
- 下腹部の鈍痛または周期的な痛み
- つわりが急に消えた感覚
「少量の出血=流産」ではない。妊娠初期の出血の多くは経過良好で終わる。ただし大量出血・激しい腹痛を伴う場合は緊急受診が必要だ。心配なら必ず受診してほしい。
異所性妊娠(子宮外妊娠)——見逃してはいけない
異所性妊娠とは、受精卵が子宮内膜以外(主に卵管)に着床した状態だ。妊娠全体の約1〜2%に起きる。
卵管は妊娠を維持できないため、そのまま放置すると卵管破裂を起こし、大量出血・出血性ショックになる生命を脅かす緊急事態になる。
このような症状は救急へ
生理が遅れている(妊娠検査薬陽性)+以下のいずれかがある場合は、異所性妊娠の可能性がある。救急受診を迷わないでほしい。
・片側の下腹部痛(特に急激に強くなる) / 肩への放散痛 / めまい・失神・顔色が悪い / 大量の出血
妊娠中に避けるべきもの
| 避けるもの | 理由 |
|---|---|
| アルコール | 胎児性アルコール症候群のリスク。「少量なら安全」という基準量はない |
| 喫煙(受動喫煙含む) | 早産・低出生体重・SIDS(乳幼児突然死症候群)リスク増加 |
| 生魚・生肉 | リステリア・トキソプラズマ感染のリスク |
| 大量カフェイン | 流産・低出生体重リスク。1日200mg(コーヒー約2杯)未満が目安 |
| 大型魚(マグロ・メカジキ)の多食 | 水銀の胎児への影響(週1回程度は問題ない) |
妊娠中の薬の使用について
市販薬を含むすべての薬は、妊娠中に使用する前に医師・薬剤師に相談することが原則だ。アセトアミノフェン(カロナール)は比較的安全性が高いが、NSAIDs(イブプロフェンなど)は妊娠後期には使用禁忌になる。処方薬を飲んでいる場合は、妊娠が分かった時点で担当医に報告してほしい。
まとめ
妊娠初期は胎児の重要な器官形成が進む時期だ。自分の体の変化に敏感になりながら、過度な心配は不要だ。流産の多くは防げない染色体異常が原因であることを理解し、異所性妊娠のサインを知っておくことが大切だ。不安なことは迷わず産婦人科に相談してほしい。
参考文献
- 日本産科婦人科学会. 産婦人科診療ガイドライン 産科編2023.
- 厚生労働省. 妊娠前からはじめる妊産婦のための食生活指針. 2021.
- ACOG Committee Opinion. “Nonobstetric surgery during pregnancy.” Obstet Gynecol. 2019.