婦人科疾患

子宮頸がん・子宮体がん——スクリーニングと予防

▸ この記事のポイント

  • 子宮頸がんと子宮体がんは別の病気。原因・好発年齢・検診方法がそれぞれ異なる
  • 子宮頸がんはHPV感染が原因。HPVワクチン+2年ごとの検診で予防・早期発見が可能
  • 子宮体がんの最大のサインは閉経後の不正出血。肥満・糖尿病・無排卵などがリスク因子
  • どちらも早期発見で治癒率が大幅に上がる。定期検診の継続が命を守る

子宮頸がんと子宮体がん——どこが違うのか

「子宮がん」という言葉には2種類の異なるがんが含まれる。

項目 子宮頸がん 子宮体がん(子宮内膜がん)
発生部位 子宮の出口(頸部) 子宮の内側(内膜)
好発年齢 20〜40代(若い年代にも多い) 50〜60代(閉経後が多い)
主な原因 HPV(ヒトパピローマウイルス)感染 エストロゲン過剰(無排卵・肥満・ホルモン薬)
主な症状 初期は無症状→不正出血・性交後出血 不正出血(特に閉経後)・水様帯下
検診 細胞診(子宮頸がん検診)+HPV検査 自覚症状で受診・子宮内膜生検

子宮頸がん——HPVとワクチン

子宮頸がんの原因の99%以上はHPV(ヒトパピローマウイルス)感染だ。HPVは性交によって感染するありふれたウイルスで、性交経験のある女性の多くが一生のうちに感染する。

感染しても多くの場合は自然排除されるが、一部で持続感染が起き、数年〜10数年かけてがんに進展する。

予防の2本柱

  • HPVワクチン:感染前の接種が効果的。日本では9価ワクチン(ガーダシル9)が定期接種で無料で受けられる。性交未経験の若年(13〜16歳)での接種が最も効果が高い
  • 定期検診(2年ごと):20歳以上の女性は自治体の子宮頸がん検診を受けることができる。細胞診でCIN(前がん病変)を発見し、がんになる前に治療できる

「ワクチンを打ったから検診は不要」ではない。現行のワクチンでもすべてのHPV型を防ぐことはできないため、ワクチン接種後も定期検診の継続が必要だ。ワクチン+検診の両方で予防効果が最大になる。

子宮体がん——閉経後の出血は必ず受診

子宮体がん(子宮内膜がん)はエストロゲンの過剰暴露が主な原因で、以下のリスク因子がある。

  • 肥満(BMI 30以上でリスクが3倍以上)
  • 糖尿病・高血圧・高脂血症(メタボリック症候群)
  • 無排卵(PCOSなど)による持続的エストロゲン過剰
  • 閉経後のエストロゲン単独ホルモン療法
  • タモキシフェン(乳がん治療薬)の使用
  • 家族性大腸ポリポーシス(リンチ症候群)

閉経後の出血——必ず婦人科へ

閉経後に出血がある場合、子宮体がんの可能性を最初に考える必要がある。子宮体がんの患者の約90%が不正出血を経験する。「少量だから」「一度だけだから」と放置せず、必ず婦人科を受診してほしい。子宮内膜生検(内膜の細胞採取)で診断できる。

早期発見と治癒率

どちらのがんも、早期発見であれば高い治癒率が期待できる。

病期 子宮頸がん5年生存率 子宮体がん5年生存率
Ⅰ期(子宮内) 約92% 約94%
Ⅱ期(骨盤内) 約73% 約74%
Ⅲ期(骨盤外) 約43% 約52%
Ⅳ期(遠隔転移) 約17% 約17%

まとめ

子宮頸がんはHPVワクチン接種と定期検診という明確な予防手段がある。子宮体がんは肥満・生活習慣の改善と、出血などの症状への早期対応が重要だ。「忙しい」「怖い」という理由で検診を避けないでほしい。定期的な検診が、最も確実に命を守る手段だ。

参考文献

  1. 日本婦人科腫瘍学会. 子宮頸がん治療ガイドライン2022.
  2. 日本婦人科腫瘍学会. 子宮体がん治療ガイドライン2023.
  3. 国立がん研究センター がん情報サービス. 最新がん統計2023.

本記事は産婦人科専門医が監修した健康情報です。個々の医療判断は担当医師にご相談ください。本記事の内容は医療行為の代替となるものではありません。