▸ この記事のポイント
- STI(性感染症)の多くは無症状のまま感染・感染源になる。症状がなくても検査が重要
- クラミジアは日本で最も多いSTI。放置すると不妊・異所性妊娠の原因になる
- 婦人科でクラミジア・淋菌・梅毒・HIV・ヘルペス等の検査ができる。「恥ずかしい」と思わず受診してほしい
- コンドームの正しい使用がSTI予防の最も重要な方法
主なSTIの一覧
| 感染症 | 原因 | 主な症状 | 検査・治療 |
|---|---|---|---|
| クラミジア | クラミジア・トラコマチス菌 | 多くが無症状。おりもの増加、軽い下腹部痛 | 核酸増幅検査、抗菌薬(1回服用) |
| 淋菌感染症 | 淋菌 | おりもの異常、排尿痛。無症状のことも | 核酸増幅検査、セフトリアキソン注射 |
| 梅毒 | 梅毒トレポネーマ | 初期:無痛のしこり→発疹。性器・体中に現れる | 血液検査(TPHA/RPR)、ペニシリン |
| HIV | HIV(ウイルス) | 初期:インフルエンザ様症状→長期無症状 | 血液検査(抗体)、ARV治療 |
| 性器ヘルペス | 単純ヘルペスウイルス2型 | 性器周囲の水疱・潰瘍・痛み。再発する | 視診・ウイルス検査、抗ウイルス薬 |
| 性器コンジローマ | HPV(6・11型) | 性器周囲のいぼ | 視診、冷凍療法・外用薬 |
| トリコモナス | トリコモナス原虫 | 泡立ったおりもの・悪臭・外陰部かゆみ | 顕微鏡検査、メトロニダゾール |
STIが女性に特に深刻な理由
男性と比べて女性はSTIの影響をより大きく受ける。
- クラミジア・淋菌が子宮→卵管→骨盤腹膜に広がる(PID:骨盤炎症性疾患)と不妊・異所性妊娠のリスクが大幅に上昇する
- HPVは子宮頸がんの原因になる
- 梅毒は妊娠中に感染すると先天梅毒(胎児への影響)を起こす
- 多くのSTIが無症状のため、気づかない間に感染が広がる
「症状がないから大丈夫」は誤り。クラミジアは感染者の約70〜80%が無症状だ。年に1回程度の定期検査が性活動のある女性に推奨される。
どこで検査を受けられるか
- 婦人科クリニック:クラミジア・淋菌・梅毒・HIV・ヘルペス等の包括的な検査が可能
- 保健所:HIV・梅毒の無料検査(匿名)
- 市販の検査キット:自宅でクラミジア・淋菌・梅毒・HIV等の検査が可能(精度は施設検査より劣る)
婦人科受診でSTI検査は「普通のこと」
婦人科でSTI検査を希望することは珍しくない。「パートナーが変わった」「コンドームなしの性交があった」「おりものの変化が気になる」などの理由で受診する女性は多い。恥ずかしいことでも特別なことでもなく、自分の健康を守る普通の行動だ。
予防——コンドームが最も重要
- コンドームを正しく(最初から最後まで)使用することがSTI予防の基本
- HPVワクチンは頸がん・コンジローマを予防(性交経験前の接種が最も効果的)
- 定期的な検査で早期発見・早期治療
- 複数の相手がいる場合は特に積極的な検査が重要
まとめ
STIは「不道徳な人がかかるもの」ではなく、性活動のある多くの人が経験しうる一般的な感染症だ。自分とパートナーを守るために正しい知識を持ち、コンドームの使用・定期検査を習慣にしてほしい。不安や疑問があれば婦人科で気軽に相談できる。
参考文献
- 日本産科婦人科学会. 産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2023.
- CDC. “Sexually Transmitted Infections Treatment Guidelines, 2021.” MMWR. 2021.
- 国立感染症研究所. 性感染症発生動向調査. 2023.