月経・生理

「正常な月経」ってどんな状態?周期・量・期間の基準を医師が解説

▸ この記事のポイント

  • 正常な月経の周期は25〜38日、持続日数は3〜7日。この範囲を外れたら受診を検討する
  • 経血量の目安は「ナプキンを1〜2時間ごとに交換しなければならない」なら多すぎるサイン
  • 月経のパターンは人それぞれ。大切なのは「自分の普通」を知り、変化に気づくこと
  • 「生理だから仕方ない」で我慢し続けることで、婦人科疾患の発見が遅れることがある

月経の正常範囲——数字で知っておく基準

月経に関する基準は、日本産科婦人科学会によって定められている。自分の月経が正常かどうかを判断するための目安として覚えておこう。

項目 正常範囲 異常の呼び名
月経周期 25〜38日 24日以下:頻発月経 / 39日以上:稀発月経
持続日数 3〜7日 8日以上:過長月経 / 2日以下:過短月経
経血量 20〜140mL/回 140mL超:過多月経 / 20mL未満:過少月経
初経 10〜14歳 15歳以降:原発性無月経の疑い
閉経 43〜56歳 40歳未満の閉経:早発閉経

「28日周期」が正常と思われがちだが、これは平均値に過ぎない。25〜38日の範囲内であれば、どのような周期でも正常だ。毎月きっちり28日でなくても心配はいらない。

経血量——「多い・少ない」を判断する目安

経血量をmLで測ることは実際には難しい。日常生活で使える目安を覚えておこう。

多すぎるサイン(過多月経)

  • 昼間でも1〜2時間ごとにナプキン交換が必要
  • レバー状の塊(血の塊)が繰り返し出る
  • 外出や仕事に支障が出るほど量が多い
  • 貧血症状(めまい・疲れやすさ・息切れ)がある

少なすぎるサイン(過少月経)

  • ナプキンがほとんど汚れない
  • 2日以内に終わってしまう
  • 茶色いおりもの程度で終わる

過多月経・過少月経の背景にある疾患

過多月経は子宮筋腫・子宮腺筋症・血液凝固障害などのサインであることがある。過少月経はホルモンバランスの乱れや子宮内腔癒着(アッシャーマン症候群)が背景にある場合がある。どちらも「体質だから」と放置せず、気になったら受診してほしい。

月経周期のしくみ——なぜ毎月来るのか

月経は、妊娠しなかった場合に子宮内膜が剥がれ落ちる現象だ。脳(視床下部・下垂体)と卵巣のホルモンのやり取りによってコントロールされている。

月経周期の大まかな流れ

  1. 月経期(1〜5日目ごろ):子宮内膜が剥がれて経血として排出される
  2. 卵胞期(月経後〜排卵前):エストロゲンが増加し、子宮内膜が厚くなる
  3. 排卵(周期の中間ごろ):卵巣から卵子が排出される
  4. 黄体期(排卵後〜次の月経まで):プロゲステロンが増加。妊娠が成立しなければ内膜が剥がれ、月経が始まる

このサイクルが乱れると月経不順・無排卵・不妊につながる。ストレス・急激な体重変化・過度な運動がこのサイクルを乱す代表的な原因だ。

こんな変化があったら受診のサイン

月経に関して以下のような変化・症状があれば、婦人科を受診することを勧める。

  • 周期が急に変わった(例:これまで28日だったのに急に40日以上になった)
  • 3か月以上月経がない(続発性無月経)
  • 経血にレバー状の塊が繰り返し混じる
  • 日常生活に支障が出るほど生理痛が強い
  • ナプキン・タンポンを1〜2時間ごとに交換しなければならない
  • 月経と月経の間に出血がある(不正出血)
  • 閉経後に出血があった

「いつもと違う」が最大のサイン。月経は人によって個人差が大きい。「他の人と違う」よりも、「自分のいつもと違う」ことに気づくことが大切だ。そのためにも、月経の記録をつける習慣をつけることを勧める。

月経記録のすすめ

婦人科を受診する際、月経の記録があると診断の助けになる。「いつから不順になったか」「どのくらいの頻度で塊が出るか」など、記録があると医師に正確に伝えることができる。

記録しておくと役立つ項目

  • 月経開始日・終了日
  • 経血量(多い・普通・少ない)
  • 痛みの有無・強さ(0〜10で記録)
  • 気になる症状(塊・不正出血・その他)
  • 体調・気分の変化

おすすめの記録方法

スマートフォンの月経管理アプリ(ルナルナ、Flo、Clue など)を活用するか、手帳に記録するだけでも十分だ。婦人科受診の際は直近3か月分の記録を持参すると、より詳しい診察が受けられる。

まとめ

月経は「毎月来るもの」だが、その状態を正確に把握している女性は意外と少ない。正常な範囲を知ることで、異常に早く気づき、適切なタイミングで受診できる。

「生理だから仕方ない」で我慢し続けることが、婦人科疾患の発見を遅らせることがある。自分の月経を知ることが、女性の健康を守る第一歩だ。

参考文献

  1. 日本産科婦人科学会. 産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2023.
  2. Fraser IS, et al. “A process designed to lead to international agreement on terminologies and definitions used to describe abnormalities of menstrual bleeding.” Fertil Steril. 2007.
  3. Munro MG, et al. “FIGO classification system (PALM-COEIN) for causes of abnormal uterine bleeding.” Int J Gynaecol Obstet. 2011.

本記事は産婦人科専門医が監修した健康情報です。個々の医療判断は担当医師にご相談ください。本記事の内容は医療行為の代替となるものではありません。