▸ この記事のポイント
- IUDは子宮内に挿入する避妊器具。毎日飲む必要がなく、避妊率99%以上の長期間使用できる避妊法
- 銅付加IUDはホルモンなし・ミレーナ(IUS)はホルモン含有。目的によって選択が異なる
- ミレーナは過多月経・月経困難症の保険適用治療にもなる。出血量を最大90%减らす
- 挿入時の痛みがあるため、月経中の挿入が推奨される。未産婦でも挿入可能
IUDとIUS——2種類の子宮内器具
| 種類 | 内容 | 有効期間 | 月経への影響 |
|---|---|---|---|
| 銅付加IUD (ノバT・マルチロードなど) |
銅の抗精子作用で受精を阻害 | 5〜10年 | 出血量が増える場合がある |
| ミレーナ(IUS) (レボノルゲストレル放出型) |
局所的に黄体ホルモンを放出 | 5年(避妊・過多月経) 7年(避妊のみ) |
出血量が激減→無月経になることも |
ミレーナの特徴——治療としての活用
ミレーナは避妊だけでなく、保険適用の月経困難症・過多月経治療として使用できる(子宮筋腫・子宮腺筋症・子宮内膜症による過多月経など)。
- 出血量を80〜90%減少させる
- 月経痛を大幅に改善する
- 貧血の改善に直結する
- 5年間効果が持続し、除去後は速やかに妊孕性が回復する
「ミレーナ=避妊器具」というイメージだけを持つのはもったいない。月経量が多くて困っている女性にとって、ミレーナは保険適用で使える非常に効果的な治療法だ。手術をしたくない・薬も飲み続けたくないという場合に特に適している。
挿入の流れと注意点
挿入は産婦人科で外来処置として行われる。月経中(子宮口が開いている時期)の挿入が推奨されることが多い。
- 挿入時に痛み・けいれん様の感覚がある(数分間)
- 挿入後数日は下腹部痛・出血が続くことがある
- 挿入後1〜3か月は不規則な出血がある場合がある
- 1か月後に位置確認の受診が必要
- 未産婦でも挿入可能だが、子宮が小さい場合は困難なことがある
IUDの適応・禁忌
適している人:長期間の避妊を希望・ホルモン系避妊法が使えない・月経量が多い(ミレーナ)・毎日飲む薬が続けられない
使用できない場合:妊娠中・原因不明の不正出血・子宮内膜炎・性感染症の活動期・子宮の変形(大きな子宮筋腫など)
IUD挿入後に注意するサイン
以下の症状が出た場合は早めに受診してほしい:強い腹痛・38℃以上の発熱・おりものの悪臭・生理以外の大量出血・IUDの糸が感じられない(または突き出している感覚)。特にIUD挿入後早期の強い発熱は子宮内感染の可能性がある。
まとめ
IUDはピルと並ぶ有効な避妊・治療法だ。毎日の服薬が不要で長期間有効という大きな利点がある。ミレーナは特に過多月経に悩む女性にとって生活の質を大幅に改善できる治療法だ。婦人科で自分の状況を相談した上で、最適な方法を選んでほしい。
参考文献
- 日本産科婦人科学会. 産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2023.
- WHO. “Medical Eligibility Criteria for Contraceptive Use, 5th edition.” 2015.
- Bayer Healthcare. Mirena prescribing information. 2023.