妊活・妊娠

不妊検査の種類と流れ——何をどの順に調べるのか

▸ この記事のポイント

  • 不妊の原因は女性側・男性側それぞれ約40〜50%。男性の精液検査は最初に行う最も基本的な検査
  • 女性側の基本検査はホルモン・超音波・卵管・頸管粘液。1周期で多くの情報を得られる
  • 不妊治療のステップはタイミング法→人工授精(AIH)→体外受精(IVF)の順で段階的に行う
  • 原因不明不妊が約20〜30%存在する。「検査で異常なし」でも体外受精で妊娠できるケースが多い

不妊の定義と原因

不妊とは「妊娠を望むカップルが、避妊せず通常の性交を1年間行っても妊娠しない状態」と定義される(35歳以上は6か月)。日本では不妊に悩むカップルは約5〜6組に1組とされている。

不妊の主な原因は女性側(排卵障害・卵管因子・子宮因子など)が約40〜50%、男性側(精子因子)が約40〜50%で、残りは原因不明または両方に問題があるケースだ。

検査の流れ——基本検査

男性:精液検査(最初に行うべき検査)

最も簡便で侵襲がなく、不妊原因の約半分を占める男性因子を早期に発見できる。WHO基準(2021年)での正常値は精子濃度1600万/mL以上、運動率42%以上、形態正常率4%以上だ。

女性:基本検査

検査 内容・タイミング 調べること
ホルモン検査 月経2〜5日目 FSH・LH・エストラジオール・AMH・プロラクチン・甲状腺
経腟超音波 いつでも 子宮・卵巣の形態、卵巣嚢胞、卵胞発育
卵管検査(HSG) 月経終了後〜排卵前 卵管の通過性(閉塞・癒着の有無)
頸管粘液検査 排卵期 頸管因子の評価
フーナーテスト 排卵期(性交後12〜24時間) 頸管内の精子生存・運動状態

不妊治療の段階

段階 治療 特徴
一般不妊治療 タイミング指導(排卵誘発含む) 自然妊娠に近い。妊娠率は1周期あたり約10〜20%
人工授精(AIH) 精子を子宮内に直接注入 1周期あたり約10〜15%。6回程度が目安
体外受精(IVF) 卵子・精子を体外で受精させ胚移植 最も高い妊娠率(胚移植あたり約30〜40%)。費用・身体的負担大
顕微授精(ICSI) 1つの精子を直接卵子に注入 重症男性不妊・IVFで受精しない場合

「検査で異常なし」でも諦めないでほしい。原因不明不妊は約20〜30%存在するが、体外受精を行うと多くの場合妊娠できる。検査で原因が分からないことは「治療できない」を意味しない。

不妊治療と保険適用

2022年4月から人工授精・体外受精・顕微授精が保険適用になった(条件あり)。保険適用の上限は女性の年齢と採卵回数で決まる。費用負担が大幅に軽減されたため、治療を迷っていた人にとっては大きな変化だ。

不妊治療での夫婦の連携

不妊治療は精神的・身体的・経済的負担がかかる。パートナーが一緒に通院する・情報を共有するなど、二人で取り組むことが治療継続のカギになる。相談支援窓口(不妊専門相談センター)を活用することも有効だ。

まとめ

不妊検査は「まず男性の精液検査」から始めることが効率的だ。女性側の検査も1か月ほどで基本的な評価ができる。「何が原因か分からないまま時間だけが過ぎる」状況を避けるために、早めに専門クリニックで包括的な評価を受けることを勧める。

参考文献

  1. 日本産科婦人科学会. 不妊症に関するガイドライン2022.
  2. 日本生殖医学会. 生殖医療の必修知識2020.
  3. WHO Laboratory Manual for the Examination and Processing of Human Semen, 6th edition. 2021.

本記事は産婦人科専門医が監修した健康情報です。個々の医療判断は担当医師にご相談ください。本記事の内容は医療行為の代替となるものではありません。