▸ この記事のポイント
- ホルモン検査は測定するタイミング(月経周期の何日目か)によって基準値が変わる。受診日の伝え方が重要
- FSH・LHは「脳からの指令」。エストラジオール・プロゲステロンは「卵巣からの応答」を反映する
- AMH(抗ミュラー管ホルモン)は卵巣予備能の指標で、妊活前の重要な情報になる
- プロラクチン高値は月経不順・乳汁分泌の原因になる。薬剤・ストレスでも上昇する
ホルモン検査の基本——いつ採血するか
女性ホルモンの血中濃度は月経周期によって大きく変動する。検査は原則として月経2〜5日目(卵胞期初期)に行うことが多い。この時期は基準値が定められており、比較がしやすい。
受診時には「月経何日目か」を必ず伝えることが重要だ。
主なホルモン検査の読み方
| ホルモン | 基準値(月経2〜5日目) | 異常値の意味 |
|---|---|---|
| FSH (卵胞刺激ホルモン) |
3〜10 mIU/mL | 高値:卵巣機能低下・更年期 / 低値:下垂体機能低下・視床下部性無月経 |
| LH (黄体化ホルモン) |
2〜10 mIU/mL (排卵期は急上昇) |
LH/FSH比が2以上:PCOS疑い / 高値(排卵期以外):異常 |
| エストラジオール(E2) | 20〜100 pg/mL(卵胞期) 200〜400(排卵期) |
低値:卵巣機能低下・更年期 / 高値(卵胞期):卵巣過剰刺激・腫瘍 |
| プロゲステロン | 1 ng/mL未満(卵胞期) 5〜20(黄体期) |
黄体期低値:黄体機能不全・無排卵 |
| プロラクチン(PRL) | 3〜30 ng/mL | 高値(30以上):高プロラクチン血症。乳汁分泌・月経不順の原因 |
| AMH | 年齢依存(30代前半:2〜4 ng/mL) | 低値:卵巣予備能低下 / 高値:PCOS疑い |
「FSHが高い」は脳がより強く卵巣に指令を送っている状態を意味する。卵巣機能が低下すると脳はより大きな指令を出すため、FSHが高くなる。更年期・卵巣機能低下の指標として重要だ。
AMH(抗ミュラー管ホルモン)——卵巣予備能の指標
AMHは卵巣に残っている卵子数(卵巣予備能)の指標だ。月経周期に依存せずいつでも測定でき、年齢とともに低下する。
- AMHが低い→残り卵子が少ない→妊活を急ぐべきサイン
- AMHが高い→PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の可能性もある
- AMHが低くても妊娠できないわけではない。採卵の難しさの指標に過ぎない
プロラクチン——見落とされやすい高プロラクチン血症
プロラクチンは授乳ホルモンだが、授乳中以外に高値になる場合は以下の原因を考える。
- 下垂体腺腫(プロラクチノーマ)
- 薬剤性(抗精神病薬・胃腸薬・一部の降圧薬)
- 甲状腺機能低下症
- 過度のストレス・採血前の運動(採血直前の影響)
検査結果は「文脈」が重要
ホルモン値は「単独の数字」では判断が難しい。FSHが15でも、40代では正常範囲内でも30代では異常かもしれない。「いつ採血したか」「どんな症状があるか」「年齢」との組み合わせで評価される。検査結果だけを見て自己判断するより、担当医師と一緒に読み解くことが重要だ。
まとめ
ホルモン検査は「数字が正常か異常か」だけでなく、月経周期・年齢・症状との組み合わせで初めて意味を持つ。「検査で何を知りたいのか」を明確にして受診することで、より有益な情報が得られる。
参考文献
- 日本産科婦人科学会. 産婦人科診療ガイドライン 婦人科外来編2023.
- 日本生殖医学会. 生殖医療の必修知識2020.