婦人科検診

乳がん検診——マンモグラフィとエコーの使い分け

▸ この記事のポイント

  • 乳がんは日本人女性の9人に1人が生涯に罹患するがん。40歳以上は2年に1回のマンモグラフィが推奨される
  • マンモグラフィは石灰化の発見に優れる。乳腺密度が高い(高濃度乳腺)女性ではエコーを併用する
  • 自己触診は補助的手段。しこり・乳頭分泌・皮膚変化に気づいたら早めに乳腺外科を受診する
  • 30代以下の若年女性はエコーが向いている(高濃度乳腺が多く、マンモグラフィの感度が低い)

マンモグラフィ vs 乳房超音波——特徴の違い

検査 原理 得意な発見 不得意 適した年代
マンモグラフィ(MMG) X線で乳房を挟んで撮影 石灰化・腫瘤全体 高濃度乳腺では見えにくい 40歳以上
乳房超音波(エコー) 超音波で断層像 嚢胞・充実性腫瘤 石灰化の検出・広い範囲 30代以下・高濃度乳腺

高濃度乳腺(Dense Breast)とは

乳房の大部分が乳腺組織で占められる状態を「高濃度乳腺」という。日本人女性の約40%が高濃度乳腺とされており、若い女性に多い。

高濃度乳腺ではマンモグラフィで全体が白く写り、腫瘍も白いため見えにくくなる(見落としのリスク)。この場合はエコーを追加することが推奨される。

自治体のマンモグラフィ検診で「高濃度乳腺」と記載されていた場合、乳腺外科や産婦人科でエコーの追加検査を相談してほしい。「要精密検査ではない」でも高濃度乳腺は追加検査の価値がある。

自己触診の方法

月1回、月経終了後3〜7日(乳房が最も柔らかい時期)に行う。閉経後は毎月同じ日を決めて行う。

  • 鏡の前に立ち、両腕を上げ下げしながら乳房の変化(凹み・左右差・皮膚の変化)を確認
  • 指の腹で乳房全体を3本指で同心円状に触れる
  • 乳首をつまんで分泌物がないか確認
  • 脇の下のリンパ節も触れて腫れがないか確認

こんな変化は乳腺外科へ

  • しこり(硬い・動かない・境界不明確)を触れる
  • 乳頭から血性の分泌物がある
  • 皮膚がへこむ・オレンジ皮膚様の変化
  • 乳房・乳頭の左右差が急に出た
  • 脇の下にしこりを触れる

乳がん検診の受け方

40歳以上の女性は自治体の乳がん検診でマンモグラフィを2年に1回無料または低コストで受けられる。乳腺外科・産婦人科・検診センターで受診可能だ。

ブライダルチェック・人間ドックで乳房検査

30代でも乳がんは発症する。人間ドックやブライダルチェックで乳房エコーを選択することで、早期から検診習慣をつけることができる。特に家族歴(母・姉妹の乳がん)がある場合は30代からの定期検診を勧める。

まとめ

乳がんは早期発見で約90%以上が治癒できる。40歳以上は2年に1回のマンモグラフィ、若い世代や高濃度乳腺の女性はエコーを積極的に利用してほしい。自己触診と年1回の画像検査の組み合わせが最も効果的な乳がん対策だ。

参考文献

  1. 日本乳癌学会. 乳癌診療ガイドライン2022.
  2. 国立がん研究センター. 乳がん検診のエビデンス.
  3. Ohuchi N, et al. “Sensitivity and specificity of mammography and adjunctive ultrasonography to screen for breast cancer in the Japan Strategic Anti-cancer Randomized Trial.” Lancet. 2016.

本記事は産婦人科専門医が監修した健康情報です。個々の医療判断は担当医師にご相談ください。本記事の内容は医療行為の代替となるものではありません。